もう会社の看板に頼らない
あなたが指名される生き方がある。
 
人と一対一で会える自分になる。
国内外で活躍できる自分になる。

「会う力」養成講座

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Message

はじめに

 

起業をしてから15年が経ちました─

実績ゼロ、知名度ゼロの状態から遮二無二走り続け、各界のトップランナーやその道のプロフェッショナル、市井の人々にいたるまで、これまで2000人以上の方にお話を伺ってきました 。

僕が今こうしてプロのインタビュアーを続けていられるのは、「会う力」を磨き続けてきたからだと感じています。

20代の頃の僕は「やりたいことはうっすらとあるものの、どう実現させて良いかわからない」悩める一人の会社員でした。ノルマ制の会社で結果が出せず、クビ寸前のどん底状態。しかも、極度の人見知り。人付き合いは大の苦手で、初対面の人と何を話したらいいのかも、まったくわかりませんでした。

 そんな日々を過ごしていたある日。始業前に必ず立ち寄るカフェで自問自答していました。

Q 死ぬときに後悔しないのは、どんな人生だろう?
A 自分が最も好きなことをライフワークにし、人の役にも立つ人生。

Q じゃあ何の制約もないとしたら、自分が本当にワクワクすることは?
A 大好きな「インタビュー」「ラジオ」をライフワークにして生きること。

人の話を聞いて刺激を受けることが大好きな僕の頭には、自然とこうした答えが浮かんできました。そこから、各界のトップランナーやプロフェッショナルの方たちを中心にお話を伺うラジオ番組を始めたのです。

有名無名、国内外問わず、経営者、作家、アーティストなど…様々な方にお目にかかり、インスピレーションとモチベーションを頂き続けていました。

誰かに会うだけで人生が変わるなら苦労はしない──そんな声も聞こえてきそうですが、果たしてそうでしょうか。人生のターニングポイントには、必ず他の人の存在がなかったでしょうか。また、僕が実践したことは主体的に「会いたい人に会いにいく」ことです。漫然とだれかに会うことではありません。

人と会うことを通して得られる知見や情報、そして関係性は世界にただひとつ、自分だけのオリジナルです。昨日の常識が明日には非常識に変わってしまう時代に、自ら能動的に動くことで、自分が欲しい答えをピンポイントで得ることができます。その蓄積は、あなたの人生の羅針盤となり、難局での救命ボートとなってくれるはず。

そしてもうひとつ。忘れてはならない価値があります。
それは、会いたい人に会いにいくと、自分の中に「今と未来を生きるエネルギー」が湧き出してくるということです。
 
僕自身、心のバランスを崩したり、結婚生活のピンチ、近親者の死、会社経営に伴う人間関係やお金の悩みに直面したりしても、何とかやってこられたのは、自ら会いにいくことでご縁を頂いた多くの方々から、励まし、勇気、癒やし、安らぎといった「今と未来を生きるエネルギー」を頂いてきたからにほかなりません。

「会いたい人に、これから話を聞けるんだ!」という気持ちでお相手にお目にかかると、先方から「あなたから元気をもらえた」と言われることも数多くあります。なにしろあなたから先にポジティブなエネルギーを発して、「前のめり」な姿勢でお目にかかる当日を迎えているのですからそれが伝わるのかもしれません。

そう考えると、「会いにいく」ということは、ポジティブなエネルギーを循環させる双方向性を持っているのではないかと思うのです。今と未来を生きる希望に満ちあふれた毎日を送り続けること。そうした時間を、誰かと共有すること。これ以上に大切なことがいったいどれだけあるでしょうか。

そんな体験をあなたにもしていただきたい。そう強く願っています。

For whom

こんな方に

相手の本音やニーズ
を引き出す力を養いたい
時代や環境に左右されない
個の力を高めたい
トップランナーや著名人に
1対1で話を聞いてみたい
会社の看板に頼らない
人間になりたい
インタビューを使った
メディアを創りたい
インタビューを
仕事にしたい
 
インタビューの基本を
ゼロから学びたい
取材や仕事に使える
リサーチ力を高めたい
アポ取りのコツと
スキルを身につけたい
WEB会議や取材で「伝わる」
コミュニケーション力を養いたい
ライター/コーチ/コンサルタント
カウンセラーとしての腕を上げたい
本やセミナーでは辿り着けない
悩み解決の糸口を見つけたい
 
Independent

会社の看板がないとしたら、
どれだけの人と会えますか?


 
2020年に発生した新型コロナウイルスの影響で、外出時にはマスク着用し、不要不急の外出は控えるなど、働き方・生活様式・人との会い方が大きく変化しました。
 
一方で、リモートワークの採用・副業を認める会社も増えるなど、ポジティブな変化も表れています。
 
2020年代にこのようなことが起きるとは、誰もが予想しえなかったことと思います。そんなますます先行き不透明な時代。
あなたは会社の看板がないとしたら、どれだけの人と会うことができるでしょうか?これまで会社員として実績を積み重ね、社内外で評価されていたとしても、独立したあなたという存在が人と会えるか。
 
生きていく上で、人との関わりは不可欠です。
 
仕事であれば、人の悩みに答えたり・人々の生活を豊かにすることが価値となる。
私生活であれば、パートナーシップや仲間や友人との関わりが、あなたの生活を豊かにしてくれる。
 
あなたが関わることで幸せになれる人たちがたくさんいます。
そんなあなたの力をもっと幅広く活用してみませんか。
 
 
 

Update

会うことの効用


 
リモートワークをはじめ、オンラインでのコミュニケーション全盛の時代に、なぜ「会う」のか。確かに、短期的に見れば誰かに会いに行くことのハードルは高いですよね。移動による時間と出費は削れませんし、何よりお相手の貴重な時間を頂くためには「この人なら会ってもいいか」と思ってもらう理由が必要です。そのためには、相手のことを深く知る必要がありますし、会ってあっていただくために提案を考える必要があります。一見するとタイムパフォーマンス(タイパ)が悪いと言われても無理もないのかもしれません。

 でも、だからこそ価値があると僕は思っています。人生の様々な局面において「関係を始めたい」「深めたい」「持続したい」「改善したい」と思っている誰かと出会ったとき。あるいは「解決したい」「深めたい」「力を付けたい」何かに出合ったとき。直に会って対話することほどタイパが良いコミュニケーションを僕は他に知りません。

 ここぞというタイミングでこれぞという人に会いに行き、自らをアップデートしていく──それは人生の舵を自分で取れる人間になっていくことに他なりません。それゆえ、僕は今も人付き合いが苦手なのに、どんな世界の果てにいる相手でも、誰もが知るような著名人であっても、臆することなく飛んで会いに行ってしまうのです。

 こういう話をすると、「私は著名人に会うことまでは考えていません」と言われることが少なからずあります。ですが、僕は著名人に会うことをすすめているわけではありません。「人生の教科書」をアップデートする過程で、僕の中の「会いたい人リスト」に結果として著名人の方の名前が挙がり、お目にかかる機会を頂いた──ただ、それだけです。

 それよりもお伝えしたいのは、会いたい相手が著名人であろうとそうでなかろうと「人生の教科書」をアップデートする過程そのものがめちゃくちゃ楽しいということです。

 人生を舞台にしたアドベンチャーゲームの主役となり、これぞと定めた人に会いに行く旅と言い変えてもよいかもしれません。道中の様々な経験や、会うことができたお相手との対話を通して、自らに必要な能力をアップさせていく。──こんなに楽しいことはありません。
 

You can do it

だれでも会いたい人に会える


 
会うことに価値があることはわかった。わかったけれど、「個人の自分にはとても無理」と感じるかもしれません。かつての僕もそうでした。

 でも、高田明さん(ジャパネットたかた創業者)、林真理子さん(作家)、松田公太さん(タリーズコーヒージャパン創業者)、池谷裕二さん(脳研究者)……振り返れば僕自身もかなりの数の方にこの方法でお目にかかってきました。

 しかも、人脈も実績もゼロだった駆け出し時代の方がゼロから相手にお目にかかった機会は多いくらいです。自分がどんなに無名であれ、お相手がどんなに有名な方であれ、意義や情熱を感じてもらうことができれば、お目にかかるチャンスは十分にあります。

 今になって思うのは、どんな分野であれ第一線に立ち続けている方の多くは、不器用でもがむしゃらに何かに取り組んでいる人を応援したり、おもしろがったりしてくれるメンタリティを持っているのでは──ということです。

 ですから、あなたが熱意を持って、相手が喜ぶような提案をすれば、あなたが会いたい人に会うことは十分にチャンスがあります。

 では、情熱だけ持っていれば良いのか。答えは「No」です。
 

How to

会うためには作法がある


 
SNSやホームページをはじめとして、連絡先さえ分かれば、地球の裏側にいる人でも、思い立ったらすぐにメッセージを送ることができる──そういう意味では、史上最も会えるチャンスに恵まれた時代かもしれません。しかしどんなにテクノロジーが発達しても、何も考えずに連絡したところで想いが成就するとは僕は思いません。その先にいるお相手は、機械でもAIでもなくひとりの人間であり、心があるからです。

 では、会ってもらうための連絡をする際に忘れてはいけないことは何でしょうか──それは、会うことは「お相手の命の一部をいただく」行為だという意識を持つことです。大げさに感じる方もいるかもしれませんが、たとえ3分だとしてもその方の人生の貴重な時間を自分に割いてもらうことに他なりません。

 「熱意」は相手の心を動かす力があります。それは、文面でも、言葉でも、伝わるものです。でも忘れてはいけないのは、相手への配慮です。相手の都合や気持ち、状況やタイミングを最優先に考えているか。その方にお目にかかりたい気持ちだけが先行して、こうした当たり前のことを忘れてしまっては本末転倒。一方的に押しかけるただの迷惑な人になってしまわぬよう細心の注意が必要です。

 名もなき個人である僕が世界中の人たちと会い続け、世界のトップランナーの方と今もなお親交が続いているのは、「熱意」を伝えると同時に、相手への配慮を含めた「会う力」を磨き続けてきたからです。

 会う力とは、以下の8つの力の総称です。
 

Skills

会い続けられる人になるために
必要な「8つの力」


 
あなたが独立した存在として人と会い続けるようになるためには「8つの力」が不可欠です。
 

  1. リサーチ力
  2. メモ力
  3. アポ取り力
  4. 段取り力
  5. 質問力
  6. 現場力
  7. 縁紡力
  8. メディア力(場の力)

 
これら「8つの力」を理解し実践することで、会社の看板に頼らない生き方を行えるようになります。
 
「8つの力」の詳細はこちらです。
 

 
 

Curriculum

講座内容

以下の8つの力を順に学び実践いただくことで、「会う力」が確実に身につきます。

❶リサーチ力 


 
「会いたい人」が決まったらいきなりアポをとりますか? 

OKの可能性はゼロではありませんが、厳しいのは否めません。
そこで最初にしてほしいのがリサーチ。
あなたがもし営業マンなら「会う前」に相手をリサーチしませんか。
それをどのレベルまでできるかが、アポ取りはもちろん、その先にある商品やサービス購買の成否を決めます。

ではどんなリサーチをすればいいのか?
すぐに実践できるかたちでお伝えします。
 

【内容】ネットにはない情報を「検索する」裏技/パブリックリサーチ/プライベートリサーチ/オリジナルリサーチ/会う前に会う/共通点と地雷点/リサーチした情報をいかに記録しておくか etc

 

❷メモ力


 
メモを辞書で調べるとこんな定義があります。
メモ【memo】
( 名 ) スル
〔メモランダムの略〕
忘れたときの用心に書き付けること。また、その書き付けたもの。手控え。覚え書き。 「要点を──する」(『大辞林 第三版』より)
 
板書、備忘録……ぼくらがこれまでとってきたメモは、何かを書き写したり、控えたりする「インプット型」でした。 ですが、こうした従来のメモとは異なり、ここでは得たい結果から逆算して書き出す「アウトプット型」メモをお伝えします。
 

【内容】メモは「逆算」してとれ/「会う前」のメモとは?/「会ったとき」のメモとは?/早川洋平おすすめのメモ術/早川洋平のメモツールと使い方 etc

 

❸アポ取り力


 
どうすればアポを取れますか?最もよくされる質問です。
記者時代は「 ○○新聞の者ですが ……」と名乗れば、むげにされることはありませんでした。 しかし、独立してからは会社の看板は使えません。
知名度もスポンサードも資金力もありません。
そんななか自らのメディアに、これまで 200人近いトップランナーたちを呼び続けてきました。 これだけ会い続けられるのは、ぼく以外でも再現可能な一定のルールや理由があるはず ……そこでこれまでトップランナーとどう会ってきたかを徹底分析してみると、「パターン」があることがわかりました。
 

【内容】アポ取りには紹介型と直接型がある/六次の隔たり/いいとも!形式/「その場」型/出版社型/正攻法/「別件」型/共感型/ジャストタイミング型 etc

❹段取り力


 
ようやくアポが取れた。
「あの人」についに会える─喜びはもっともですが大切なのはここから。
いかにその「会う場」を双方にとって最高のものにするか。
そして「一度きり」ではなくその後も縁を紡いでいくか。
そのために忘れてはならないのがこの力です。
「段取り八分仕事二分」とあるように、この質量がその後を大きく左右します。
 

【内容】事前準備/タイムマネジメント/アポが取れたら一番始めにすべきこと/会う前に会え/手みやげは何が良いか/外注力/バックアップ/正しいロケハンの仕方 etc

❺質問力


 
質問というと「会った時」や「インタビュー時」にするイメージが強いかもしれません。 しかし、「会う前」の質問と「会った後」の質問も同じくらい大切です。
 
この3ステップで最高の結果を残すために、「自問力」「他問力」という二つの質問力を伝授します。
 
僕が日常のインタビューで実際に使っている質問もお伝えしたいと思います。
 

【内容】自問力/他問力/プロが使う鉄板の質問/質問力をつける「参考書」/年表×俯瞰/最適な質問の「量」/縁を紡ぐ質問/質問力を磨くためにできる4つのこと etc

❻現場力 


 
質問力と同じくらい会った「時」に大切なのがこの力。
会う「場」は良くも悪くも「想定外」の連続。
そのなかで何を心がけ、どう対応していくか。
得たい結果をいかに確実に得ていくか。
それが例えば仕事の場なら、今後のビジネスの命運を大きく左右するでしょう。
だれよりも「本番に弱かった」ぼくが、現場で学び培ってきたすべてをお伝えします。
 

【内容】コミュニケーション力/アドリブ力/「白紙」の重要性/初心者がやってしまいがちなこと/テクニックより大切なこと/ふところ力/頭が真っ白になった時の対処法 etc

縁紡力


 
本講座は「1回会えばゴール」ではありません。
会う力を身につける大きなメリットは、その相手と縁を紡ぐチャンスが飛躍的に高まること。
仕事をご一緒するだけでなく、友人同士になってしまうこともありえます。
キモとなるのは縁紡力。
「雲の上の存在」だと思っていた相手と同じ世界でビジネスをしたり、ともに人生を送ったりするための代えがたい力です。
 

【内容】その場で紡ぐ/空白のスケジュール/あとで紡ぐ/アナログの価値/距離感と平衡感覚/面談メモ/特定日を使え/相手のことを考え続ける「テクニック」 etc

❽メディア力(場の力)


 
この力を使うことは、人生で「会う」質量を飛躍的に増し、同時にここまでの七つの力を磨く最高のトレーニングにもなります。 レバレッジの効き方がまるで変わってきます。
いわば人生を大きくアップデートするための「最終兵器」──それがメディア力(場の力)です。
この最後の力をマスターすることで、あなたは一生涯、人生を更新する人と世界に会い続けるためのエンジンを積んだことになります。
 

【内容】メディアの再定義/場と場所は違う/自分にあったメディアの選び方/Podcastを使い続ける本当の理由/9つのフリー/スマホと「場」の関係/公共性の強さ/自分のメディアで最大限効果を発揮するための秘訣 etc

Skills

「会う力」は個を確立するための
スキルが集約されている


 
「会う力」を見ると、インタビュアーや記者、特定の職業の人にしか関係ないと思うかもしれません。でも僕は、大きな変化が訪れる激動の時代にいて、時代や環境に左右されずにしなやかに生きていくために不可欠な力だと思っています。

 人に会い、質問し、質問されることは、「自分ではわからない可能性や悩み解決の糸口を引き出す」きっかけになるからです。本、セミナー、講演会など、不特定多数に向けた情報ではなく、自分の状況にフィットしたピンポイントの答えをもらえます。

 でも、僕もはじめから今のように人と会い、うまい取り回しができたわけではありません。少し前に、久々に自分のポッドキャスト番組のバックナンバーを聴く機会がありました。今聞くと、初回は本当にひどいレベルです。用意してきた質問メモを上からただ順番に聞いていくだけ。しかも極度な緊張もあって異常に早口です。極めつきはインタビュイーの方の丁寧な返答に対して「そうなんですね」と淡泊なあいづち。お相手から逆に質問されると動揺して浅薄な答えしかできません。まるで対話とはいえないこのインタビューに、お相手とリスナーの方に対して、今では申し訳なさと恥ずかしさでいっぱいです。

 そんな僕でも番組が30回を過ぎたあたりから質問メモは参考程度で、目の前にいる方に集中できるようになってきます。50回を超える頃には、お相手の発言に対して自分が感じたことやさらに深掘りしたいことも、臆せず伝えられるようになっているのが聴いていてよく分かります。自分事ながらこの変化には驚きを禁じ得ませんが、お相手がどんなに高名な方であっても「同じ人間なんだ」ということが知らず知らずのうちに自分にしみこんでいったのかもしれません。

 それだけでなく、「これぞと定めた方に主体的に会い続ける」ことであなたはどんどん変化していきます。お相手の生き方、考え方、仕事のしかた、大切にしていること、お金の使い方、時間の使い方、コミュニケーションのはかりかた、服装、食べ物、話し方……そのすべてをシャワーのように浴び続けることは、自分そのものを大きく変える可能性を秘めていると思うのです。

 これは僕自身が数多くの「苦手」を克服した経験からも自信を持って言えます。

 たとえば書くこと。元新聞記者なのに?と驚かれる方もいるかもしれませんが、僕が新聞社で働いていたのはわずか1年あまり。その後の会社員ライターのキャリアも2年半に過ぎません。何より僕が大好きなのは「インタビュー」で、書くのは学生時代から本当に苦手でした。

 しかしそんな僕でも、吉本ばななさんや多和田葉子さんのように世界で活躍する作家の方にお目にかかり続けていると、不遜にも「自分にも書けるかもしれない」という気になってきます。そうなればしめたもので、この「勘違い」を有効活用して、とにもかくにも書き続けていくと、何とか書けてしまう。そればかりか、時にはちょっと楽しい……と感じる瞬間まで出てきます。
 

 
話すことも同じです。僕は昔からあれやこれや「人の話を聞く」のは大好きでしたが、反対に自分が話すのはまるでダメでした。しかし、国内外を行脚する著名な講演家の方から直に「ぼくも最初は全然ダメだったんだよ」という体験談を聞いていると、あんなトークの達人でも最初は話せなかったんだ、と思えるようになってくる。すると不思議なもので、少しずつぼく自身も人前で話せるようになってきます。気付けば今では、トークライブのMCをやったり、講演会のスピーカーをしたりしているのだから自分でも驚くばかりです。

 これらは僕が経験したほんの一部に過ぎません。どんな才能が開発されるか。どんなセンスが磨かれるか。どんな苦手分野が克服できるか。これはもうあなたとあなたが出会うお相手との組み合わせの数だけ無限大にあります。

想像してみてください。もし「会いたい」と熱望していた方々と新たに出会い、毎月のように直接1対1で面談する状況になったら。そんな日々が1年、2年、3年と続いたら。程度やスピードに個人差はあれど、必ず自分の変化に気付くはずです。

つまり、「会う力」は、老若男女、職業や年齢を問わず、どんな人でも人生を一変させる力を持っているのです。
 

 
 

Encounter

たった一人との出会いが
人生を変える


 
いかに「会う力」を磨き、どれだけ主体的に会うことを続けていたとしても、日々の生活においてネガティブな感情がゼロになることはありません。僕自身も何かに不安になったり、落ち込んだりすることがあります。しかし以前よりも、その度合いが小さくなったり、引きずったりする期間が明らかに短くなったのもまた事実です。

 なぜか──それはきっとこれまでお目にかかった方から授かってきたさまざまな智慧が、知らず知らずのうちに自分の血となり肉となっていたからではないかと僕は思うのです。しかもその智慧は、双方向の対話から直接学んだ完全オリジナルのもの。序章でお伝えした「自分の教科書」にほかなりません。ですから簡単に揺らいだり、失われたりすることはありません。本当に心強い存在です。

 トラブルや困難に見舞われた際、僕はできるだけ静かな場所に身を置き、これまで出会った方の中から「この状況を最も適確に乗り越えられる方は誰だろう」と自問し、頭に浮かんだ方のお名前を紙に書き出します。すると、瞬く間にお相手との対話がよみがえり、さらにじっくりと待っていると、不思議なことに問題解決に最適解と思えるようなアドバイスやアイデアが「降りてくる」ことが珍しくありません。「自問」と「書き出す」という行為を通じて、お相手からの学びが刻まれた「自分の教科書」にアクセスできるからではないかと僕は思うのです。

 もちろん、電話1本ですぐに教えを請えるその道のプロフェッショナルが周囲にいるのなら、それに越したことはありません。しかし、そうした関係性は一朝一夕に、そして大量に築けるものではありません。

 その点「自分の教科書」は他の人に気を遣うこともなく、いつでも、どこでも、何度でも活用することができます。ページ数や内容の制限もありません。ぜひ、会い続けるなかで「自分の教科書」にアクセスし、アップデートをし続けてください。今だけでなく、未来を拓くあなたの心強い伴走者になってくれるはずです。
 
 旅先で迷うことがあっても大丈夫。この本を開けば、ご自身が今、どこにいて何をすればいいのかを示すコンパス代わりになるはずです。どうか安心して人生を更新する人と世界に出会う旅へ出かけてください。

あなたがいま、心から会いたいのは誰ですか?

すべては、たった1人に会うことから始まります。
 
 

 
 

Table of Contents

「会う力」目次

実際の講座でお伝えしている「会う力」の8つの力の目次をご紹介します。

❶リサーチ力 


 

  1. なぜリサーチが重要なのか
  2. 【公】パブリックリサーチ①無料(本人発信)
  3. 【公】パブリックリサーチ②無料(メディア発信)
  4. 【公】パブリックリサーチ③有料(本人発/著書・連載記事)
  5. 【公】パブリックリサーチ④有料(メディア発/インタビュー記事)
  6. 【公】パブリックリサーチ⑤有料(本人発/体験)
  7. 【私】プライベートリサーチ①六次の隔たり
  8. 【私】プライベートリサーチ②絶対に外してはいけないポイント
  9. 【独自】オリジナルリサーチ①「カラーバス」を使おう
  10. 【独自】オリジナルリサーチ②得意ジャンルを生かす
  11. 【独自】オリジナルリサーチ③自分の「足」で得たリサーチに勝るものはない
  12. 【独自】オリジナルリサーチ④「会う前」に会う
  13. 共通点と地雷点をピックアップする

 

❷メモ力


 

  1. メモは「逆算」して取れ
  2. 「会う前」のメモ
  3. 「会った時」のメモ
  4. 「マインドマップ」を使い倒す

 

❸アポ取り力


 

  1. アポ取りは2パターンしかない!
  2. 紹介型①シンプルな紹介
  3. 紹介型②身近な紹介/具体例
  4. 紹介型③「笑っていいとも!!」形式
  5. 紹介型④読者・リスナーから紹介
  6. 紹介型⑤その場で紹介
  7. 紹介型⑥出版社から紹介/具体例
  8. 直接型①正攻法
  9. 直接型②その場でお願い
  10. 直接型③別件を生かす
  11. 直接型④勉強会で機会をつかむ
  12. 直接型⑤顧客になる
  13. 直接型⑥コンセプト共感
  14. 直接型⑦ジャストタイミング

 

❹段取り力


 

  1. 段取りの二つのステップ
  2. 事前準備①紹介者がいればお礼と報告を
  3. 事前準備②「会う前」に会っておく
  4. 事前準備③喜ばれるものを贈る
  5. 事前準備④助けを借りる
  6. 事前準備⑤リマインドを入れる
  7. 事前準備⑥バックアップを怠らない
  8. 事前準備⑦ロケハンをする
  9. タイムマネジメント①90分前には現地入りする
  10. タイムマネジメント②当日「おしりの時間」を聞く

❺質問力


 

  1. 自問力①会う前の自問
  2. 自問力②+αの自問
  3. 問力①相手が簡単に答えられる質問
  4. 問力②本題に関する質問
  5. 問力③縁を紡ぐ質問
  6. 早川洋平の質問集
  7. 質問のストックを増やすためのおすすめコンテンツ
  8. 相手に気付きを与えられるか
  9. 最適な質問の量とは
  10. 質問力を磨くために①現在・過去・未来を聞く
  11. 質問力を磨くために②優れたインタビューに触れる
  12. 質問力を磨くために③「Q&Aコーナー」に投稿する

❻現場力 


 

  1. コミュニケーション力①問題点・不明点がないか聞く
  2. コミュニケーション力②熱意や教えを請う気持ちを真摯に伝える
  3. コミュニケーション力③すべてのリサーチはいったん忘れる
  4. コミュニケーション力④緊張していることを正直に言う
  5. コミュニケーション力⑤相手が触れて欲しいポイントを読み取る

縁紡力


 

  1. その場で紡ぐ①アポの後ろは何も入れない
  2. その場で紡ぐ②時間いっぱいまで内容を組み込まない
  3. 後で紡ぐ①お礼状を書く
  4. 後で紡ぐ②ホウレンソウを忘れない
  5. 後で紡ぐ③相手のことを考える時間を定期的に予定する
  6. 後で紡ぐ④「距離感」と「平衡感覚を持つ」
  7. 共通で大事なこと①相手のニーズやシーズを知り、応えていく
  8. 共通で大事なこと②面談メモを効果的に使う
  9. 共通で大事なこと③「特定日」を有効活用する
  10. 共通で大事なこと④最初の誘いは断らない

❽メディア力(場の力)


 

  1. メディアとは「三方良しの場」のこと
  2. 何をメディアにするか
  3. 他者の役に立つとは
  4. 早川洋平がPodcastを使い続ける理由
  5. オンラインメディアの可能性
  6. 九つのフリー
  7. スマホと「場」の関係
  8. さらに「会いやすく」なる
  9. 「公共性」の意味
  10. 自分と向き合う時間をとる

 

Course

受講コース

ライフスタイルや目標・目的にあわせて2つのコースからお選び頂けます。

初回リアルコース(8名限定)

早川や仲間と直接会いたい方へ
オンラインコースも含まれます


八つの力をていねいに解説した動画講義(全89本)が受け放題。講義は専用ページに全てストックされています。映像はご自宅のパソコンや通勤内の電車で、音声は散歩や家事の合間に。いつでもどこでもご自身の予定とペースにあわせて受講できます。ほとんどの講義は5分前後の短いものなので、「スキマ時間」に学ぶことも可能です。
ご自身で動画をご覧いただいた上で、全4回のオンラインライブで早川洋平に直接質問、相談できます。各ライブの開催日前には、該当する二つの力の動画や音声を再視聴いただき、質問や疑問点などをご自身なりにまとめていただいた上で、ご参加いただきます。また、 1/24(金)に開催する1回目のQAライブをリアル(@横浜みなとみらい)で受講できます。(※2回目以降はオンラインでのご受講になります)初回ライブ前には、早川洋平とリアルコース受講メンバーで懇親会も行います。早川洋平に直接質問することができ、他の受講生様とも交流いただけます。※懇親会の費用は当方にて負担させていただきます。
 

オンラインコース

リーズナブルな価格で会う力を学びたい方へ
海外や遠方にお住まいの方へ


初回リアルコースと同様に八つの力をていねいに解説した音声講義(全89本)が受け放題。全4回のオンラインライブでは、早川洋平に直接質問、相談ができます。各ライブの開催日前には、該当する二つの力の動画や音声を再視聴いただき、質問や疑問点などをご自身なりにまとめていただいた上で、ご参加いただきます。初回リアルコースに比べ、リーズナブルに参加することができます。
 

 

Schedule

ライブ日程

日時 内容
第1回 2025年1月24日(金)18:30〜21:00 リサーチ力 / メモ力
第2回 2025年2月7日(金)19:00〜22:00 アポ取り力 / 段取り力
第3回 2025年2月28日(金)19:00〜22:00 質問力 / 現場力
第4回 2025年3月14日(金)19:00〜22:00 縁紡力 / メディア力(場の力)
※万が一、リアルタイムで参加できない場合もアーカイブをお渡しいたします。
 
※上記に記したライブ当日に講義を行うわけではありません。
開催日前に、必ず該当する二つの力の動画や音声を再視聴いただき、
質問や疑問点などをご自身なりにまとめていただいた上で、ご参加くださいませ。
signing up

受講お申し込み

 初回リアルコース 

(1)クレジットカード一括お支払い
受講料 248,000円(税込)
 
 
 
 (2)クレジットカード分割お支払い(10回)
毎月のお支払金額
26,040円×10回
分割支払手数料が(5%)かかります
 
 
 
 

 オンラインコース 

(1)クレジットカード一括お支払い
受講料 198,000円(税込)
 
 
(2)クレジットカード分割お支払い(10回)
毎月のお支払金額
20,790円×10回
分割支払手数料が(5%)かかります
 
student's voice

受講生の声

 

コロナの「会えない」時代に受講することを一瞬ためらったが、本当に受講してよかった。アポ取り、段取り、質問、現場、縁のつむぎ方……etcここで学んだことはリアルだけでなく、「オンラインで会う」際にも全く問題なく、そのまま活用できました。ウィズコロナの時代、むしろ「会う」力の重要性を強く感じるとともに、次はどの分野のトップランナーに会おうかワクワクしています。

 

 
30代女性 Mさん
 

最初は「無名の自分が本当に会いたい人に会えるか」心配もあったが、どのようにしたら会えるか、会ったとき何をしたらいいか、どのように縁を紡げば良いか、メソッドが徹底的に体系化されていたので安心してステップを踏み、実際にある著名な方に会うことができた。その後も関係は続き、「会う力」を実践・実感する日々が続いています。

 
30代男性 Oさん
 

インプットしただけで終わりにならないか不安だったが、アウトプットのための「場」である「メディア」のつくりかたや続け方のキモを教えてもらえたので自分の番組を立ち上げ、インタビューを続けることができている。早川さんに質問したり、悩みを相談するなかで、経験に裏打ちされた具体的なアドバイスをもらえたのは本当にプライスレスな価値だった。自分1人ではきっと、アポ取りすらできなかったと思う。実際に早川さんがインタビューされた方との「実例」を聞くことができ、早川さんだけでなく、トップで走り続ける方が大切にされていることも学ぶことができたのも大きかったです。

 
20代女性 Kさん
recommender

推薦者

 

小説家

石田衣良さん

メルマガ、サロン、Podcast、YouTube……早川さんと仕事をして6年以上になります。
彼は何のコネがなくても、世界中のあらゆる人に「会いたい!」と決めたら本当に会ってしまうある種の「変人」です。でもそれが全部ちゃんと仕事につながっている。
そして彼が個人で始めたPodcastのプロジェクトは、今やキクタス全体で累計ダウンロードが二億回を超えるまでに成長している。
それはいかに、早川さんの「会う力」がクレイジーなのかを示すものだとぼくは思います。
「会う力」は人生を動かすための「前進力」「エンジン」と言い換えることもできるんじゃないかな。普段真面目な面もある早川さんですが、この講座ではその「クレイジーさ」を遺憾なく発揮してくれると思います。ぜひ受講してみてください。


 いしだ・いら/1960年東京生まれ。広告制作会社を経てフリーのコピーライターに。97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞。同シリーズは、第17巻『炎上フェニックス』まで刊行されている。2003年『4TEEN』で直木賞。06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞。他に『娼年』など。 YouTube、Podcastで『大人の放課後ラジオ』を毎週配信中。
 

Message

最後に


21世紀に入り、多くの人がインターネットやソーシャルメディアを使って「つながれる」ようになりました。パンデミックにより一気にそれが加速したのはだれもが感じることだと思います。確かにファーストコンタクトは容易になったかもしれません。でも、いったいどれだけの人が「会いたい人」と「本当」につながっているでしょうか。
 
僕は思います。 DXが進めば進むほど、「直接会う」ことの価値(とハードル)は高まっていく。情報があふれればあふれるほど、自分にとって本当に大切なことは、本当に信頼できる人に会って学んだり、確かめたりするに限るし、言葉にはならない本当に深いところまで本質的なメッセージを受け取るには、やはりオンラインよりリアルの方が圧倒的に効率がいい。 そしてメディアに加工された二次情報よりも、その道の第一人者から直接聞いた「一次情報」に勝るものはない、と。
 
前世紀、一次情報を得られたのはごく一部の層やメディアの人たちだけでした。しかし、今は違います。「会う力」を身につけ、その道の第一院者から直に学んだり、あなたが心から会いたいと願う相手に会ったりすることで、自身をアップデートできる最高の時代に僕たちは生きています。
 
本講座では、会う力を構成する八つの力を誰にでも再現可能なかたちとなるようぼく自身の体験も交えて余すことなくお伝えします。ひとりでも多くの人が「会う力」を身につけ、ご自身の人生を「更新」するたくさんの人と世界に出会ってもらえたら。これほどうれしいことはありません。
 
AI全盛期の「いま」、 相手の本質と本音を引き出し、 自身の未来も開く一生モノの力をみなさまにお伝えするのを楽しみにしています。
 

Q and A 

講座に関するQ&A

 

A; この講座でお伝えした内容を「順番に」「正しく」「実践」いただければ成果は出ます。しかし「受講しただけ」では成果は出ません。また、同じ実践するのでも、自分のメディアをもち発信者としてインタビューされている受講生の方たちは、成果を実感されております。受講中、分からないことや不安なことがあれば、QAライブでお気軽にご質問・ご相談ください。

A; お求めの力は「会う力」講座の中に含まれます。全講座を学び、実践いただけば、「インタビュー力」や「聞く力」が身につくようカリキュラムを組んでいます。

A; あなた自身のメディアをつくることで、「会う力」の成果は大きく変わってきます。会社の看板やビジネスパートナーに頼る形ではなく、ぜひ、時代や環境に左右されないあなただけのメディアを持つことを強く推奨します。(メディアの具体的な作り方として、ポッドキャストブランディング講座で学ぶこともできます)

受講生・卒業生の方でメディア出身の人は少ないです。会社員・経営者・コーチ・ライター・コンサルタント・ツアーコンダクターなど、みなさん多方面で活躍されています。本業以外の活躍の場として、メディアを立ち上げてインタビューを行っている卒業生もおられます。

会社員として働きながら、会う力を活用されている方も居られます。会社の看板に頼らず取引先の企業・個人の方と縁を紡がれていたり、副業(複業)として本業以外の場で、独立心をもって活動する方など、みなさんさまざまな形で会う力を活用されています。

iPhoneやアンドロイドなどのスマートフォンがでも受講いただけます。
ただしネットに接続できなかったり、
動画などが見られなかったりする端末ではご受講いただけません。

Lecturer

講師

プロインタビュアー

早川 洋平

はやかわ・ようへい/新聞記者等を経て、2008年キクタス株式会社を設立。各界のトップランナーやプロフェッショナルから戦争体験者まで分野を超えてインタビューし、それを発信する声のメディアを制作。ユニクロやネスレのCMのインタビュアーとしても活動する。
横浜美術館や石田衣良氏(作家)らのPodcast番組のプロデュ-スも手がけ、自社で配信する番組の総ダウンロード数は毎月約200万回。累計は 3億回を超える。
近年は海外取材にも精力的に取り組み、『What does Japan mean to you?』で英語での発信もしている。
 
■インタビュー実績
羽生結弦(フィギュアスケート選手)、高田賢三(KENZO創始者)、横尾忠則(美術家)、コシノジュンコ(デザイナー)、よしもとばなな(作家)、森保一(サッカー日本代表監督)、髙田明(ジャパネットたかた創業者)、平野啓一郎(作家)、松田公太(タリーズコーヒージャパン創業者)、大倉源次郎(小鼓方大蔵流/人間国宝)、加藤登紀子(歌手)ほか

※順不同・敬称略
Story

「早川洋平」のストーリー

僕自身がこの真理に気付くことで、幾度となく人生が変わる経験をし、
プロインタビュアーとして生きることにつながりました。 
では、なぜ「会う」ことで僕たちの人生が変わるのか。
はじめに僕自身のバックストーリーをお伝えすることで
少しでも感じていただけたら幸いです。
 
主宰/早川洋平
 

夢はプロサッカー選手になって2002年日韓W杯に出場。そして海外でプレーすること。そのためにサッカー進学校を選び、「今よりもっと成長するにはどうしたらいいか」。当時はそれだけを四六時中考えていた。朝は誰よりも早くグラウンドに入り、夜も最後まで自主練を重ねた。特別な才能に恵まれていない自分にできることは「努力でカバーする」ことだけだった。だが、3年間ただの一度も公式戦に出ることはできなかった。「努力だけでは越えられない壁」に初めてぶつかり、18歳にして人生最大の夢を絶たれた僕は、やりたいこともないまま「とりあえず」大学へ進んだ。
 
入学時に唯一決めていたのは「サッカー以外」の世界を見ること。新歓コンパにサークル活動……みんなが楽しそうに勤しむ大学生活を送ってみた。だが、自分にはあわないと1カ月で気付く。続いてチャレンジしたのはアルバイト。引っ越し、ファミレス、家庭教師、プールガード、世論調査員……大学自体に経験したのは30種類以上。おかげで目的の「サッカー以外の」世界を少しだけ垣間見ることができた。
 
さらに世界を広げてくれたのは文字通り、海外旅行だった。アメリカ、タイ、韓国……アルバイトで稼いだお金の大半をつぎ込んだ。そのどれもが典型的な貧乏旅行だったが、毎日が想定外の連続、毎分のように自分を強制アップデートさせられる感覚がたまらなかった。初めてサッカー以外で「自分の成長」と「人生を生きている」ことが感じられる日々がそこにはあった。
 
こんな生活をこれからもずっと続けられたら……そして迎えた就職活動。選んだ道は新聞記者だった。国内外の色々な場所に行き、多様な人に会って話を聞く。自分の足で得た価値ある情報を伝えることで、世の中の役に立ちながら自分もアップデートし続けられる。これほど自分にぴったりな仕事はないのでは。そう感じた僕は全国の新聞社を受けまくり、ありがたいことに1社から内定をもらうことができた。希望に満ちた22歳の春。生まれ育った横浜を離れ、新聞社がある広島へ旅立った。
 

 

こうして社会人生活をスタートさせた僕は、報道記者として「イメージ通り」の激務に奔走。「希望み通り」四方に飛び回る生活を送っていた。だが、そんな充実した日々が続いたのもわずか3カ月。僕は身体を壊し入院を余儀なくされることとなる。幸い大事にはいたらず1週間ほどで全快。早期復職を果たす。だが、ここからが予想外だった。
 
激しく気分が落ち込むのだ。当初は一時的なものだろうと思っていたが、明くる日も明くる日もそれは続いた。それでも、サッカーで培った精神力には自信があっただけに「こんな状況は簡単に乗り越えられる」。頭ではそう思い続けた。だが裏腹に体が動かない。出勤したはいいものの、「心臓が地面にくっつきそうになる得も知れぬ絶望感」に襲わたり、理由もなく涙が溢れる。
 
さすがにこれはまずい。僕は知人のすすめで心療内科を受診。くだされた診断はうつだった。信頼できる先生のアドバイスと会社の理解のおかげもあって僕は休職に入る。先生の丁寧なカウンセリングと抗うつ剤を併用し、復職の道を探る毎日を送る。家族や会社の手厚いサポートもあって2カ月後に復職。だが、1週間もしないうちに激しいうつ症状が現れ再度会社には行けなくなってしまう。その後は休職と復職の繰り返し。先の見えない日々に、自ら命を絶つ人の気持ちが初めて分かった時期でもあった。
 
1年後。変わらず会社に行けない僕は、やむなく新聞社を辞める苦渋の決断をする。ようやく埋めることができたと思ったサッカーの穴は、わずか1年で再び空いてしまった。
 
また振り出しか。再び深い闇の中にさまよい混んだ僕を救ってくれたのは一冊の本だった。著者はいわゆる起業家で、そこには彼がこれまでどんな壁にぶつかり、どう乗り越えてきたのか。どれだけ多くの人に支えられて来たかがつづられていた。ひとつひとつの言葉に重みと説得力があった。僕は自然と勇気づけられていった。
 
僕は、ジャンルを問わず様々な人たちの自叙伝をむさぼった。そして半年が経った頃、驚くことが起きる。どれだけ心療内科に通っても完治しなかったうつが、いつのまにか治っていたのだった。医学的にみれば「読書したから治った」わけではないかもしれない。しかし、その時の僕に「生きるエネルギー」を与えてくれていたことに疑いようはなかった。
 
自分以外の誰かの生き様や考え方に触れることで、人は変われたり、前に進めたりするようになる。「どん底からの生還」を果たした僕はいつしか、こうした得がたい体験をその時までの自分のように人生で苦しんでいるまだ見ぬ誰かにもしてもらえたらどんなに素晴らしいだろう。しかも、「読書以外」の何かで。なぜ当時ようやくうつから回復し、無職だった僕がそのようなことを漠然とだが思ったのかは正直今でもわからない。だが、その漠然とした思いは僕の未来に差す一筋の光のようにその時には思えた。
 

しかし、ことは簡単には運ばなかった。それから数年間、僕は広告制作プロダクションや企画会社で働きながら、自分に何ができるのかを問い続けていた。だが、多忙な日々に忙殺され、全く具体的なアイデアが出てこない。そんな毎日が僕を焦らせる。まもなく28歳になろうとしていた。そんな悶々とした中で迎えた五月のある晴れた朝。僕は始業前に必ず立ち寄るカフェにいた。いつものラテに、いつもの店員、いつもの常連客。そんななか、自分だけは「いつも通り」ではいられなかった。 このままじゃ死ぬときに絶対後悔する。こんな人生でいいのか──。 
当時の僕は毎日深夜まで働くもノルマ未達で年々減俸……いつ解雇されてもおかしくないお荷物社員だった。しかも当時、妻のお腹の中には初めての子どもを妊娠しており、まもなく出産を迎えようとしていた。なんとか状況を打開したい。けれど人脈も知識も実績も資金も自信もアイデアもない。八方塞がりの状態に、すべてをあきらめそうになっていた。かつて救われたあの「自叙伝」たちをどれだけ読んでも、新たに自己啓発書やビジネス書の類いに手を出しても、果ては著名人の講演会やセミナーに足を運んでも事態はまるで変わらない。こんなにも自分と人生を変えたいのに……僕は全く味がしないラテをすすりながら、半ば無意識で自身に問いかけていた。 
 
Q 死ぬときに後悔しないのはどんな人生だろう?
A 自分が最も好きなことがライフワークとなり、人の役にも立つ人生。
Q じゃあ、何の制約もなかったら本当にやりたいことは何だろう?
A 「インタビュー」と「ポッドキャスト」をライフワークにしたい。  
 
振り返れば、この時の自身へのインタビューがターニングポイントだった。直感的に降りてきたアイデアは、「本の著者にインタビューするポッドキャスト番組」だった。とはいえ、当時はまだ2008年。iPhoneがようやく出るかでないかのタイミングで、ポッドキャストは今よりもはるかにニッチで制作方法や配信方法も全くわからない。もちろん会社員を続けていたので時間はほとんどない。それでもなぜか不安はなかった(後がなかったから無心になれたのかもしれない)。僕はどうにか海外の専門書を見つけ、これならできるかもしれないというところまでこぎ着けた。
 

しかし、ここからもうひとつのハードルが。肝心の初回にインタビューする相手をどう見つけるか。仮にこの人に会いたい!と思ってもそもそも人脈もかつての新聞社のような会社の看板もない。情けないけれど、ゼロからアポを取る勇気もない。もちろん、本講座でお伝えするようなあらゆることを当時の僕はまるで知らない。
 
八方塞がりだった。そこでわらをもつかむ思いで足を運んだのが、起業家や経営者が集まる異業種交流会だった。社交的な友人から「こういう場なら一人や二人は本を書いている人がいるかもしれないよ」と言われ、意を決して足を運んだのだった。都内で行われたその会に集まる人、人、人。会場には、熱い思いや夢を語る人たちで溢れかえっていた。圧倒された僕はすっかり怖じ気づきすぐに端っこへ。パワフルな起業家やその「予備軍」と思しき人たちのエネルギーに、ただただ圧倒され気付けば会の終了まであとわずかとなってしまった。

もはやこれまでかと思った瞬間……「いいご縁はありましたか」とのひとこえ。話しかけてくれたのは主催者のひとりFさんだった。まったくなじめない僕をよほどあわれに思ったのか、じつに親身に話を聞いてくれた。そのやわらかな物腰に僕はようやく「ポッドキャストを使った著者インタビュー番組を始めたいと思っている」ことを打ち明けることができた。

するとFさんが「あ!」と何かを思い出す。なんと、参加者にポッドキャストを配信している人がいるとのこと。僕がいちばん探していたのは番組に出てくれる「著者」だったが、当時ほとんどの人が名前も知らなかったポッドキャストをやっているというだけでも稀少な存在。こうしてFさんに紹介してもらったのが都内の大学でMBAを教えていたTさんだった。

「ポッドキャスト」という共通点、そしてTさんの気さくで優しい人柄もあって、会話は弾んだ。そしていろいろと話をうかがっていると……彼は著者でもあることが判明。そしてなんと近々に新刊を出すという。それなら微力でも彼の本を世に知ってもらう役に立てるかもしれない。いっぽうで僕のトークは素人そのもの。けれど、こんなチャンスは後にも先にもない。僕は清水の舞台から飛び降りるつもりでインタビュー依頼を切り出した。ありがたいことに彼はすぐに快諾。これが僕のポッドキャスト番組『人生を変える一冊(現INTERVIEW)』の始まりだった。
 

僕は無名で実績はゼロ。メールや電話だったら断られていたかもしれない。相手にとってメリットがあったり、ベストなタイミングだったりすれば可能性はあったかと思うが、当時の僕には新刊というタイミングはともかく、メリットを確実に彼に約束できるわけではなかった(なにしろ、これから始まる番組なのだから)。そんな自分のディスアドバンテージを埋めてくれたのがフェースtoフェースで「会う」ことだった。良識を持って熱意を伝える。そこにテクニックや話術、かけひきはいらない。実績をある程度積むまで、僕は「この直接お願い」をそれなりにしてきた。良識を持った「つもり」だったが、もちろん失礼も少なからずあったと思う。手痛い失敗もそれなりにしてきた。しかし、ゼロから1を生むにはやはり「直接熱意を伝える」ほかにないのではないかと今にしても思う。
こうして何とかやり遂げたインタビュー。ホッとするのもつかの間、期せずして彼が「誰か次のゲストを紹介しようか」と言ってくれたのだった。そこからはまさにジェットコースターの展開。紹介された著者がまた別の著者を紹介。僕はその一つ一つの縁に感謝し、目の前のインタビューにただただ愚直に取り組んだ。気付けば、月10人近くの著者に会う日々が当たり前になっていた。こうして始まったインタビュー生活。
 
水を得た魚のように僕は著者インタビューを続けた。本業では相変わらずうだつの上がらない会社員だったが、休日を使ってインタビュー。インタビュー。インタビュー。毎朝4時に起きてそれを編集し、配信を続けた。どんなに睡眠時間が短かくても疲れはまるで感じなかった。
 
そして3か月ほど経った頃──驚くべきことに番組の配信元となっているブログのページビューは月間20万を超えていた。そして配信先のAppleのポッドキャスト総合ランキングではさらに信じられないことが起きた。トップに自分の番組名が刻まれているのだ。下にあるのはBBCやCNN、オールナイトニッポンなどそうそうたる顔ぶれ。目を疑うと同時に、僕は眼前に広がる無限の可能性にうなった。
 
ひょっとしたらこれからの時代、本当におもしろいものを創ることができれば、個人でも世界と伍していくことができるのではないだろうか。もちろんランキングがすべてではないし、ものめずらしさも多分に後押ししていたかもしれない。だが、新たなインターネットメディアの世界では、アイデアとトライし続ける勇気さえあれば、何度でも「敗者復活戦」ができるのではないだろうか。僕は直感した。
 

 

先のことは全く考えられなかったし、どうビジネスへの算段は全くつかなかった。友人からはそれだけ多くの人に聞いてもらっているのだったら、インタビューを有料で販売してみたら?と何度もすすめられた。だが僕はこう思った。
 
確かに有料なら目先の「小銭」は稼げるかもしれない。でもどうしても将来の広がりが見えなかった。差別化できる気もしなかった。それよりも、無名の早川洋平という個人が超マイナーな音声メディアを使って狂ったように著者インタビューを「無料」で配信し続ける方が、5年後か10年後には何か面白いことが起こるのではないだろうか。僕はこの直感だけを頼りに、その後もインタビューと発信を続けた。
 
そしてさらに半年ほど過ぎる頃、自分のなかにある変化が訪れた。なんと、「起業したい」と思うようになっていたのだ。会社員生活がまともにつとまらなかった僕がなぜここまでのアップデートが起きたのか。今なら理由は明快だ。ホームレス生活から奇跡の復活を遂げた経営者、フリーター経験を糧に世に出た作家、20代で成功を収めた世界的なアーティスト……僕は、普通に生活していたら一生に一度会えるか会えないという各界のトップランナーやプロフェッショナルたちに毎週のように「会う」ことで、強烈なインスピレーションとモチベーションをもらい続けていたのだ。
 
大いなる勘違いとはこわいもので僕はまだ1円も稼げていないのに、その日以来寝ても覚めても「起業」の二文字が頭から離れなくなってしまった。常識をきちんと持ち合わせた人なら、会社員としてしっかり固定収入を得ながら、じっくりとビジネスプランを練り、本業の収入を超えたところで初めて起業する。もしくは副業として続けていくのだろうが、僕は昔からどうしても「かけ持ち」ができない。結婚して乳飲み子もいるいい年したアラサーなんだから、そんな夢みたいなこと言ってるなとの声は、心に何度も聞こえてくる。そんなことは百も承知だ。でも、どうしても両方は続けられなかった。そして、1年前のカフェで自分に問うたあの言葉がまた脳裏をかすめる。
 
 Q 死ぬときに後悔しないのはどんな人生だろう?
 

 

次の日、僕は会社に辞表を出していた。社長からは、何度も止められた。何しろ、社長や先輩たちに数え切れないほどサポートしてもらっても毎年ノルマ未達の社会人だったのだから。そんな無謀な僕だったが当時は、「半年分の生活費は蓄えています。いざとなったらフリーライターをすれば目下の生活費はも何とか稼げると思います」と、恐ろしく無礼かつ自分の未来を楽観的に考えていた。
 
そして始まったビジネスモデル0の著者インタビュー起業生活。早々に映画のような展開が訪れる。ある日突然メールボックスを開くと、ある証券会社から一通のメールが。「番組にCMを出稿したい」というオファーだった。しかも出稿料は月額にして数十万円超。会社員時代の給与の2倍を優に超える額だった。願ってもないスポンサーを見つけた僕はすっかり有頂天に。ビジネスモデル考案を放棄して、とにかく著者インタビューの配信を続けた。案外何とかなるものだな……恥ずかしながらそんなことを毎日考えていたのを思い出す。
 
だが、ビギナーズラックは続かなかった。毎月のように増額される広告収入だけでもうすぐ月額「3桁」万円に届くかと思ったある晩、僕の携帯電話が鳴った。スポンサーからだった。
 
「早川さん、申し訳ないけど、今月で出稿は終わりにさせてほしい」
  
時はちょうどリーマンショックの余波で日本の金融機関が大打撃を受けていた時。まさにその影響だった。こんな「バブル」が続くはずないと心のどこかで気付いていたのに、放置していた自分が情けなくてたまらなかった。「いざとなれば」の選択肢だったフリーライターの道が頭をよぎる。だが、フリーライターだって甘くはない。インタビューした著者の数人からゴーストライターの依頼を受けることもあったが、僕は二刀流ができないタイプ。「捨てる神あれば拾う神あり」で本当にありがたいお申し出だったが、もしライターの道を選んだら、自分は著者インタビューを続けることはできないと思った。
 
あまりにも浅はかで刹那的に生きてきた自分。向き合うのもはばかられたが、それでも僕は心の声に耳をすまし続けた。聞こえてきたのはフリーライターではなく、またしても著者インタビュー番組の道だった。この期に及んでまだ「好き」を貫く自分にあきれかえりつつも、もう行けるところまで行くしかないと覚悟を決めた。
 

振り出しに戻った収入ゼロ生活。だが、ありがたいことにポッドキャスト番組の勢いだけは止まらなかった。AppleのPodcastランキングでは常時トップ10入り。ブログのアクセスも月間25万PVを越えるまでになっていた。数字がすべてではないが、もし当時こうした外部の評価がなかったらいまの僕は間違いなくなかったと思う。番組に出演してくれるゲストも途切れることがなかった。紹介が紹介を呼ぶだけでなく、ニッチなメディアとはいえ、数十人のゲスト実績とそれなりのアクセスがあったから、恐る恐る「正面から」アポを取ってみると、思わぬビッグネームでもOKをもらえることが少なくなかった。
 
無収入。既婚。子持ち。ゲスト多数。アクセス多数。このギャップにはもはや笑うしかなかった。とはいえ、もちろん貯金は確実に減っていく。気付けばあと2カ月生活できるかいなかのところまで来ていた。
 
だが、期せずして転機が訪れる。番組に登場してもらったある著名起業家から「早川さん、これ面白いね。よかったら僕自身の番組を別途つくってくれないかな」。これが今の僕の会社の基幹事業のひとつである「プロデュース」の始まりだった。彼いわく、各界のトップランナーやプロフェッショナルと呼ばれる人の多くは「感度が高く新しいものが好き」。だから、ポッドキャストという今までにないメディアの可能性に気付く人は今後もっと増えてくるはず。iPhoneもにわかにブームになり始めていたし、これはビジネスになるよ。彼は僕に言った。ただひたすらインタビューをしてきただけの自分にプロデュース業が務まるのか、正直自信はなかった。だが、相手の思いや魅力を「引き出し」て「かたち」にし、世の中に届けるという意味ではインタビューもプロデュースも同じかもしれない。何より、彼の言葉が背中を押してくれた。
 
僕は、インタビューを続けながら、彼の番組のプロデュースに邁進した。もともと人前に出るのが好きではない僕にとって、プロデュースの仕事は理想だった。結果的にインタビュアーとして彼の番組に出演することになったのだが、自分の番組よりもはるかに客観的に物事を見ることができた。僕はただ番組のクオリティを上げることだけに集中することができた。番組はほどなくしてiTunesランキングでトップに立っていた。インタビュー同様、最初の0が1になったことでプロデュース業はここから一気に火が付いた。
 

ありがたいことに彼の番組プロデュースが看板となり、自分の番組で初めてお目にかかるゲストから「私の番組も作ってもらえないですか」と依頼されるようになった。ラジオ局から番組づくりのアドバイスを求められたり、出版社から本の販促番組のプロデュース相談を頼まれ始めたのもこの頃だった。横浜美術館、多摩大学、石田衣良さん、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん……気付けば僕は20以上の番組もプロデュースするようになっていた。
 
あれから12年。知名度も実績もなく、遮二無二走り続けてきただけの僕がここまで何とかやってこられたのは、何といっても貴重な時間(その人の命そのものと思っている)を割いて、僕に「会う」時間をつくってくれた数千人の人たちのおかげにほかならない。羽生結弦さん、故・高田賢三さん、よしもとばななさん、横尾忠則さん、コシノジュンコさんといった各界の第一人者から第二次大戦を生き抜いた戦争体験者の方々……これまでお目にかかってきた人たちを思い浮かべると、正直いまだに現実味がない。そしてこちらも信じられないことに、これまでにプロデュースさせて頂いた番組数は100を突破し、累計ダウンロード数は3億回を越えていた(2021年10月現在)。
 
ここまで書いてきた通り、僕が唯一してきたことといえばその「場」とそこから生まれた「縁」や「機会」をただひたすら懸命に紡いできたに過ぎない。今もって自信はまるでないし、これまでお目にかかってきた人たちのように突き抜けた何かがあるわけでもない。一方で、もし自分の直感を信じずに途中で「会う」ことを辞めていたら。ポッドキャストというパーソナルメディアを「三方良しの場」として、そして会うための「飛び道具」として出会った人のために使い続けてこなかったら──今の自分は間違いなくなかっただろうとも思う。